終着駅/
草野春心
終着駅まで眠っていた
雪がこそこそ降っている
汚い水のなかに
ゲンゴロウは浮かんでいる
だが、その正確な形状を
ちっともしらない私だ
駅員が切符にカチンと鋏をいれる
まるで僧侶のような男だ
終着駅
一台のタクシーさえ停まっていない
電灯が白々と痙攣している
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グループ"短詩集"
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