鼠たちの声/草野春心
 


  ともあれ私のなかに
  これだけの鼠がいるのだから
  とうぜんあなたのなかにも棲んでいるはず
  血液の湿り気を好み腑(はらわた)の肉を噛みつつ
  身体の常夜(とこよ)を這い時に夢のない眠りをねむる
  かれらの声なき声をあなたも聞くがいい
  あなたはあなたのふりをしているが
  本当はかれらなのだから



   グループ"短詩集"
   Point(4)