鼠たちの声/
草野春心
ともあれ私のなかに
これだけの鼠がいるのだから
とうぜんあなたのなかにも棲んでいるはず
血液の湿り気を好み腑(はらわた)の肉を噛みつつ
身体の常夜(とこよ)を這い時に夢のない眠りをねむる
かれらの声なき声をあなたも聞くがいい
あなたはあなたのふりをしているが
本当はかれらなのだから
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グループ"短詩集"
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