キコエル、キコエル?/草野春心
でよ。
通り雨のあとで
かなしみをのみこんだら
五つめの翼が生えた。
ずっと退屈で
ぼくは退屈で、
ばらばらになりそうだった。
愛の話を
いつまでも、
聞いていたかった……
口漬けあうことの嘘を。
最初の夏。夏?? 夏!!
ぼくたちって、
ほんとうに死ぬんだね。ほんとうに、
死ねるんだね??
そんな顔しないで。
最初の夏!! 夏!!! 夏!!!!!!
できるだけゆっくり歩こう
できるだけたくさん食べよう
できるだけ穢い夢を見て
できるだけきみを失おう……
退屈で
退屈で
ぼくたちは傷ついてゆく。
最後の夏、
きこえる?
まだ、きこえる?
最初の夏。
退屈でぼくたちは傷ついてゆく、
馬鹿みたいだ。
ほんとうに、
馬鹿みたいだね?
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