都市風景(61〜80)/草野春心
纏い
道化役者は夜に惑う
手品のネタは尽きてしまった
紙芝居のネタも尽きてしまった
道化役者は夜に惑う
行きたい公園ももう無い
行きたい場所ももう無い
67.
きみの心に茂みがあって
僕はそこに
つめたい蛇を放つ
68.
一角を残して氷山は溶け
僕たちは一つ一つの海
69.
光は
おぼろに現れ
鮮明に消えてゆくもの
70.
五兆六千四百億二千八百三十万九百十二本の
雨が降る
71.
掻き瑕にまみれた
夏のほそい腕に抱かれ
[次のページ]
前 次 グループ"都市風景"
編 削 Point(3)