【批評祭参加作品】文法に果敢に肉薄する文学/石川敬大
読んだ『文学の門』(みすず書房)における詩を扱った文章も同様なのだが、カン所の内容自体は、とても示唆に富んでいて興味ぶかく読んだ。適宜に引用して、詩や文学の本質の一端に迫ってみたい。こんな文章がある。
ただきれいなだけの文章を読みたくない。(中略)文芸誌の現在
の編集者の多くは「国語教育」という小さな世界から、ぬけだ
せない。才能のある新人たちの小説の文章やことばに意見をい
い、いいところを生かすのではなくて、実はいいところを消す
よう、変えるようにいう。それだけが仕事らしい。そのためパ
スする作品の文章は、つるつるのものになる。内容も消えてい
る。文芸誌から、
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