やまとたける/……とある蛙
ヲウスの心は壊れてゆく
白鳥になんてなりもせず
国から父から捨てられて
峠の大きな大きな木の下で
故郷を想い死んで逝く
ヲウスよヲウス
父の嫉妬に兄殺し、
それを父に疎まれて
母と別れて幾歳月
行くつく先は片歌の
寂しい寂しい田舎道
ヲウスよヲウス
大和は国のまほろばだったか?
大和しうるわし といえるのか?
子供の時から転戦し、
流刑と変わらぬそのさだめ
大和はおまえに何をした。
ヲウスよヲウス
相武の果ての走水
荒ぶる海は誰の呪いか
騙しの果てに朽ち果てた
イヅモタケルかクマソタケルか
他人の油断を計略(はかりごと)
自
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