鏡のこと/はるな
 
いうことは、つまり、物事のあいだには齟齬が生じるということかもしれない。

しれない、というのは、わたしは恋人と一日を終えるときにはあまり鏡を見なくてもいいのだ。恋人は眠る直前で安心のような顔をする。そこに不安がない。なにもたしかめる必要がない。わたしたちはそこにいて、お互いが別々の人間だということをわかりながら、でも安心している。そのような一日の終わりを、ひとりでも迎えることができるなら、どんなにいいかしら。


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