靴のこと/はるな
もう済ませてしまったから。
何も捨てる必要はないし、なにも纏う必要がない。彼のほうの心情まではわからない。ただ、何度も「いいのか?」と聞く彼に、何度も「もちろん」と答えるわたしに、すこし緩む頬。一緒にいてもいいのだ、という気持ちになる。
彼にも、覚悟はあるだろう。もちろん。いろいろな種類の覚悟があるけれど。
わたしは、彼にわたしのことで傷ついてほしくない。どんなことでも。わたしが何をしても。無論、いまのところわたしには彼のことを傷つける予定も理由もないのだが。
それでも、どんなことがあっても、わたしのことで傷つかないよ、と言ってくれたらいいのに。と、思っていた。言えなくて、冗談
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