ガス・ストーブのこと/はるな
半年ぶりにかえった家はおどろくほど暖かく(ガス・ストーブをいれたの、と母)、慣れない匂いがした。住人が減り、それとちょうど反比例するように増えていく飾られる写真。
ウエディング・ドレスを着る。いくつも着た。それぞれ少しずつ異なる素材やデザインの、でもなんだかどれも似たりよったりのドレス―幸せの象徴みたいな。うすぺらい体をコルセットで締め上げて、どうにか凹凸をつけて、ロココみたいにばかばかしいパニエをくぐって、とてもほんとうとは思えないような厚底の靴を履かされて。―幸せの象徴みたいに。きれいですよ、ほんとうにまあ可愛らしい、と何人もに言われて。いくつものかたちをくぐって、まるでかたちを変えてし
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