すずらんのこと/はるな
もそれはどっちも同じようなことだと気付かされながら。
分けられたすずらんをいっそう可愛らしく思うのは、たぶんそんな時期のせいだろう。
まだ場所はきまっていないが、夫の仕事の転勤が決まった。夏には、またちがう土地に住むことになるだろう。ここには一年と3ヶ月ほど住んだ。おもいのほか早い異動だと、申し訳なさそうに夫は言うけれど、すこしほっとしていた。あたらしいところへ行けば、あたらしい気持ちでいられる。
すずらん。ひとりで乗る新幹線。
大人になったら、ひねくれて一人で遊んでいても、誰も文句を言わなくなった。
それはらくちんだし、せいせいすることだ。
いっせいに上を向いて開くハナミズキの足元で、すこしだけうしろめたい気持ちになったとしても。
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