根のこと/はるな
っくうなのであって、そのような些細な事象にはかえって鈍感だからか。などと考えながらの午前。
夫はとなりの、冷房の効いた部屋で寝返りをうっている。騒々しい―生命力そのもののような―寝息。
引っ越しがひと段落した。
関西へ行って一年半もたたないうちに、今の場所へ来ることになった。海までは、バスへ十分ほど乗ってから、さらに十五分ほど歩けばいい。駅まえに小さなスーパーマーケットがふたつと、コンビニエンスストアと牛丼屋がある。
放置された自転車の錆。
あたらしい場所へ来るのはいいことだ。気持ちがあたらしくなる。ほっとする。誰もわたしのことを気にしていないんだ、と思うことによる安心感。むかしはわ
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