ばらの家のこと/はるな
からだが重たい。
しばらく贅肉をぶら下げて生活していたらすっかり肩が凝ってしまった。
家から駅前公園までの道には「ばらの家」がある。庭いっぱいに薔薇棚を作ってあって、さらにいくつもの鉢それぞれにちがった色の薔薇を植えている。最初に花を咲かせ始めたのは棚の南向きの一群で、それは桃色の大輪だった。鼻のおくがくすぐったくなるような濃い匂い。それからすこし遅れて赤から橙へのグラデーションの美しい薔薇が咲き、白いフリルのような薔薇が咲いたと思ったら壁につたわせた赤いちいさな薔薇も満開になっていた。風の日に吹雪のように舞う花弁をむすめが喜んで拾う。
いまはみんな散ってしまって、公園の斜面の紫陽花
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