夏休み/……とある蛙
小さなにじに
キャーキャーキャーキャー
騒いでいた夏のプール
子供が 皆 真っ黒けで
坊主頭だった頃
また、夏が
また、あの光景が見えて来る
気の早い蜩(ひぐらし)の声
河原の大きな石の上から
魚釣りしようと
一気に駆け降りる谷川への道
大きな岩の上に乗り
タケの釣り竿の
餌はザザ虫
岩の隙間のポイントめがけ
投げ入れたつもりがあらぬ処
それでも懸命に釣り針を投げ込む
また、夏が
また、あの光景が見えて来る
田圃から聞こえる
あの蛙達の鳴声
悲しくはないが
懐かしく滑稽なあの鳴声
また、夏が
母の実家でのあの夏の日が
陽射しと共に蘇る
前 次 グループ"子ども時代"
編 削 Point(17)