交錯詩「窓」奥主 榮  萌木 碧水/鵜飼千代子
 
うと頬杖ついて
  いくつもの かけらとなって
   きりとられた外界の
  へやが くらかったのではない
   木々の萌ゆるまぶしさに 胸こがれる

  あかるさを 忘れていただけだ
   薫風がするりとわたしをかこみ
  はばたきの音が ひとしきり
   両の腕をとり でておいで

  ゆうだちのけはいも ひとしきり
   こわいのよ 広い世界は
  舞い降りた鳥の羽音にも似て
   わたしはよろいをもってない 

  みみもとを くすぐり
   木々の香のすがしさをまとい
  きりとられた空を くっきり浮かばせる
   今日は外に出てみよう

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                    1997年 5月 31日 奥主 榮


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   グループ"連詩 交錯詩 他、共作 競作など"
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