交錯詩「風」奥主 榮  萌木 碧水/鵜飼千代子
 

  草達は くきの先だけを揺らしている
   耳もとで ささやかれたような
  木々は 枝のあいまを ぬけさせる
   ほほを なぜられたような
  雲のかげ 地平線へとしっそうし
   ふみとどまるのは もうやめよう
  日差しは ないでしまった
   つれさられてみよう
  くすっと笑って 身をひるがえし
   ほら 身をまかせて
  ぽけっとの中のがらくたを おきざりに
   ふわりとういて
  たなごころに 乗せきれなかったものは
   ほどけるこころ
  小さな かけらになって ながれていく
   かたちがなくなり透けていく

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                 1997年 6月 7日 奥主 榮


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   グループ"連詩 交錯詩 他、共作 競作など"
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