伝書鳩がやってきて/瑠王
伝書鳩がやってきて、クルックと一言
窓辺でギターを弾かないでください
そこから落ちるなんてもってのほか
宙に浮く、それは林檎の役目でしょう
風に揺られて雨に打たれて
ある時ぽとりと落ちるのが
林檎の役目でしょう
だから宙に浮くのをやめてください
首に巻かれた赤のマフラーを
せめて僕にもほどかせてください
車輪に括られた骨が何処までもゆくのを
せめて罵らせてください
朝に向かってゆくのだというのなら
朝であることを祈ります
だから残されたもの達に
せめて罵らせてください
この夜に一輪も残してくれなかったこと
欠けたというのに歯車は
古時計を再び揺り動かすのですね
抱えた本にぽつりと見た
流れ落ちた一瞬に
伝書鳩がやってきて、クルックと一言
それで信じろって?
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