【批評祭参加作品】日々のひび割れ −石川敬大『ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる』評−/大村 浩一
 

# 可哀想すぎる
# ぼくの
# こころの足もとが躓くのは
# その一点においてなのだが
# とても軽視できない一点でもあって
# だ、けれど
# 女が
# こんな風にきりだしてくるのは滅多にないことで
# そのことだけは確かで
# 家事の疲れが滞留しているのかしらん
# と、溜まった水槽の堆積を思う
# ぼくだった

 各行の長さはまちまちだか、作者固有の呼吸でリズムが形成されている。15
行目まで5行周期で、その1〜3行目が順番に長くなり、4・5行で順に短く
なる。(11行目は例外)
 そして「だ、けれど」「滅多に」「確か」「滞留」「溜まった」「堆積」と、
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(8)