【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
のことか知らん、過去から逃げたくなる人のことか知らん。なんも知らん。「やさしい挨拶」だってなんも知らん。

 リンリン、リンリン、リンリリン、
 リンリン、リンリン、リンリリン、

 「わたしの家には出口が一つしかありません」ので、「わたし」は一つずつしか忘れることが出来ません、ひっきょう、あたしは「なにかをなくした気分」を得たくて、つまり、「忘れ」たくて、だから、「覚えることを」したくなくて、だけど、「町子さん、ねえ、町子さんってば、」って、あたし、「町子さん」に会ったこともないのに、なんか涙ぐんじゃって、「あなたの笑顔には見覚えがありません」だけど「わたし、あなたがしあわせに/今日も
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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