【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
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川島みたいなやつは、鬼のような形相で会議室を後にした。前の日も次の日も、予言する男は現れなかった。宛名書きの仕事は、これでおしまいだ。なあ川島、と川島は肩を叩かれ、おまえは、カワシモじゃないもんな、と再び肩を叩かれた。新しい彼女が出来ちゃったもんで、今度一緒にボーリング場に行かないか、と誘われた川島は、ボーリング場に行ってもいいですけど、ボーリングというのはやらないですよ、と言った。携帯電話がリン・リンと鳴った。その携帯、おまえにやるよ、と言われたら、川島はどうやって答えればいいのかわからなかった。こんな場所にボーリング場があるわけがないという場所でシシャモは、車から降りた。新車ですが、助手
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