【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
。あたしは鈴子とyumicaのやりとりを煙草を吸いながら見ていた。ふっ、とあたしの吐き出した煙草の煙がわっかになって飛んでいく。鈴子はそれをひょいとよける。こういう動きが「ポエム」って言うんじゃないの?あたしにはわからなかった。あたしにもわかんないよ、と言って鈴子は手にしていた本をあたしに投げて寄こした。そこに書かれているものが「ポエム」らしいのだが、そこに何が書かれているのかまるでわからなかった。
置き去りにされていたyumicaの死体が腐乱し始めた。あたしはそれを呆然と眺めていたが、鈴子が歩みを止めないので、煙草を咥えたまま一足飛びで階段を上った。
「ポエム」ってのが、「そこに
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