【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
来なかったけど、あたいはいつも理由もなく幸せ
だった、だけど、死ぬかもよってだれかに言われたら死にたくなくなくない?
(一条「RJ45、鈴木、」全文)


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 言葉が水にひたされている。どこから流れてきた水なのか、水はとても黒かった。飲みなれない缶コーヒーを吐き出しながら、男子の一人が「RJ45、鈴木、」を朗読した。

 「RJ45」ってのをダーザインさんっていう人は「パソコンのコネクタ呼ばわりされてる鈴木」と読んでるし、父親である「わたし」にとって「鈴木」はとんでもない男みたいだった。「スイカ割り」に「兜」は必要ないし、「兜」は頭蓋を守る為のも
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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