【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
たちの目の前に現れたこの鈴木って男ときたら
なながつななにちにたなばたつめがあたいが詰め忘れた一枚の下着のほつれを
機織りで補修している、あたいは出来上がるのをそばで待って、知らないうち
に眠ってしまった、機織りの音が鳴り止むと、あたいは目を覚まし、下着がす
っかり元通りになっていた
あたいは鈴木とつまるところで恋人っぽく抱き合った、鈴木はがらにもなく照
れてあたいは幸せだった、あしたはあたいが生まれた日だよって言うと、鈴木
は恥ずかしそうに笑った、なんでそこで恥ずかしがるのよとあたいは鈴木を問
い詰めた
なんにも経験していない青春時代
[次のページ]
前 次 グループ"第4回批評祭参加作品"
編 削 Point(15)