【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
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 「空無」「空虚」「中身はすっからかん」と、ダーザインさんって人は一条さんって人の作品を徹底して空っぽなものと見ています。そして、「真っ赤な地獄の業火の舌」という比喩は読後の「強烈なインパクト」を「意味の痕跡」や「存在論的な痛み」にたとえたものでしょう。

 空っぽ。

 空っぽの約六文の一。

 名前をタイトルにした作品について考えてみる。

 「チャンス」はぺちゃんこだったし、

 「町子さん」は病気だからか、忘れてばかりで何を知っているのかすら知らない。

 「川島」は「カワシモ」と「シシャモ」と不統一ゆえにこっぱみじんだし、

 「yumica」は全
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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