【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
つで、彼は、「チャンス」は裸にされたりしていた。きっと、あたしも一度や二度くらい「チャンス」を裸にしたことがあるだろうし、それ以上に裸の「チャンス」を校内で目撃していた。

 あたしたちはそろって「ぺちゃんこ」で、中には何も入れられなくて、わけもなく息苦しくて、わけもなく自分を痛めつけてやりたかった。弁当箱も入んないようなぺちゃんこのカバンと同じくらいぺちゃんこのあたしはあたしたちは、それが先生にも校長先生にもあてはまるのを知って、それは大人に対する失望と大人は呼ぶけれど、はなから失えるような望みなんてぺちゃんこのあたしたちの中には入ってなかったんだ。

 あたしはいつもぺちゃんこで、「カ
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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