【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
とした。
それで私は
唇のほうがもっときもちいい
と、言った。
(後略)


 ここで「ひんやり」は物理的なつめたさを指しているが、「わたし」と「あなた」はまさに熱烈な仲であり、精神的な隔たりはまったく見られない。


「私はとても身軽です」

浴衣をきるのはひさしぶり
あとは余生

おもうので
私はとても 身軽です
(中略)
夏の夜は闇が濃く
風が甘く
ひいやりとして
いい匂い
そばにいる

いってくれてありがとう
でも あなたはここにいないので
私はとても 身軽です
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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