【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
、「もくげきしたね」と、「できごとだったね」という語り口から、もう終わったことだという意識、これまでの「つめたい」という語から、やはり「二人」の精神的な距離の隔たりを書いているのではないか、と考えられる。

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 この「つめたさ」の距離感は、似たような言葉である「ひいやり(ひんやり)」を参照すると、より鮮明になる。


「午後」

(前略)
うえをむいて目をつぶったら
まぶたに日があたって きもちよかったので
私は
まぶたに日があたってきもちいい
と、言った。
すると、とじたまぶたに
やわらかな唇がおちてきた
やわらかな、ひんやりとし
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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