【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
両親の庇護のもとにある作者と、母に「顔をしかめ」られるグロテスクなレバー、その立ち位置の違いが、「私」に憧れを抱かせているのではなかろうか、と言える。
 ここでもう一篇、「つめたい」という語が出てくる詩を読みたい。


「なにもない場所に」

なにもない場所に
言葉がうまれる瞬間を
二人でもくげきしたね
あれは
夜あけのバスにのって遠い町にいくときの
つめたくうす青い空気くらいまぎれもない
たんじゅんにただしい
できごとだったね


 この詩の場合、少し難しい。その短さゆえに、如何ようにも読めてしまうからだ。ただ、「
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(7)