【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
われて、「あなた」は「あわててコーヒーをのん」でその場を取り繕い、「あなたと私は全然ちがうね」と言わしめてしまう、つまり、「私」と「あなた」の精神的な距離が、「つめたいメロン」をモチーフとして語られているわけだ。
 そう考えると、「おっぱい」でも、「つめたい/どうぐ」であるという「おっぱい」に対して、どこか冷めた視点、精神的な距離があるように思われる。
 では、「9才」ではどうか。「ガラスケース」の中の「レバー」は、話者から物理的な距離もあるわけだが、そもそも、人が憧れを抱くのは、精神的な距離、方向性の違い、があるからではないだろうか。「よそゆきの服はきらいだった」(「よそゆき」)と語る、両親
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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