【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
次の詩を読むと、この「つめたそうに」には、精神的な距離、といったものも含まれているのではないだろうか、と思えてくる。


「つめたいメロン」

つめたいメロンをたべながら
「つめたいメロン
つめたいくちびる
官能的なきもちになりました」
と 言ったら
あなたはおどろいて
あわててコーヒーをのんだね
きもちよ、きもち
あなたと私は全然ちがうね
つめたいメロン
つめたいくちびる
しずかな昼下がりです


 「つめたいメロン」はもちろん物理的にも「つめたい」わけだが、この詩では、「官能的なきもちになりました」と言われ
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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