【批評祭参加作品】つめたくひかる、1?江國香織『すみれの花の砂糖づけ』/ことこ
 
中のそれは
つめたそうに
気持ちよさそうに
つやつやと濡れてひかっていた

あれを食べたい
とか
あれにさわりたい
とか
私が言うと 母は顔をしかめた

母は決してそれを買わなかった
そして
あなたは残酷ね

言うのだった


 ここにも、「つめたい」という言葉がでてくる。9才。それは恐らく、「おっぱいがおおきくなればいいとおもっていた」年齢なのではないだろうか。初潮のはじまる、少し手前の年齢でもある。
 ここで一度、「つめたい」という語句の意味について、辞書を参照してみたい。


つめた・い【冷たい】
[次のページ]
   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(7)