【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
イノリティはそうした欠如の感覚に絶えず苛まれている。しかし、昔話の一寸法師がその小さすぎる体躯のゆえにこそ鬼を退治することが出来たように、マイノリティは自らにしつこくつきまとう欠如の感覚ゆえに何事かを成しうるはずだ。言ってみれば、欠如があるからこそ打ち出の小槌を振るうことが出来るのだ。それが「表現」ということであり、「表現者」とは何らかの欠如の感覚と引き換えに「うたう」力を与えられた者の謂いであるはずだ。
ここにマイノリティの「社会的立場」というものがある。そして、そこからある種の「実現」を果たすためには、疎外し疎外されるという社会との相互作用が必要になってくるのだ。マイノリティが社会を変革す
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