【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
を外側から変革するためのマイノリティなのだから、その社会を壊してしまっては意味がない。マイノリティはすべからく、社会を冷静な眼で観察する批評者でなければならない。
ここで想起されるのは、昔から連綿とつづいてきた「表現者」の系譜だ。社会の外に立つことで自らは不遇をかこちながらも、それゆえに社会への痛烈なカウンターとして存在した「表現者」たち。芸術家や異端として一括りにされてきた人々だ。前時代的なアナクロじみた考えだと批判するむきもあるだろうが、歴史を検分すれば、そうした「表現者」たちが社会を変革する原動力を多少なりとも担ってきたことは明らかだ。むしろそうした「表現者」像が古くさいものとして廃棄さ
[次のページ]
前 次 グループ"第4回批評祭参加作品"
編 削 Point(3)