【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
 
社会そのものにも外側から異質なものを取りこんで、それを自らの内で培養して社会のシステムのために役立てようとする機能がある。この小文の最初の方で「社会自体がマイノリティをつくり出すことを求めている」というようなことを書いた。それは畢竟、社会が自らの内側にあるものだけでは成立しえないことを表している。社会は社会の外に弾き出すためのマイノリティを必要としている。それは内側からの不満を抑えこむためのある種の安全弁であると同時に、内側からの作用だけでは自浄能力を持てないがために、外側からの作用によって社会をより強く高い場所へ押し上げるための力が期待されているのだ。つまり、マイノリティが成すべき社会への働きと
[次のページ]
   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(3)