【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される/岡部淳太郎
沌、という区分けを社会と人は行ってきた。もともと混沌に形を与えようとするのが人間の欲望である。先に述べたことの繰り返しになるが、そのような欲望があるのならばすべてを自らの内側に、秩序の方に組みこんでしまった方がよっぽどすっきりすると思うのだが、何故か社会および人間はそれをして来なかった。いつもどこかに余剰分を残し、それをあえて整理せず名づけずに、社会の周縁にそのままで放り出してきた。どうして混沌を徹底的に整理して来なかったのか。それはおそらく、ひとつには人がもともと持っている二元化による分節への欲望があるだろう。たとえば昼と夜、男と女、生と死、陸と海、聖と俗というふうに、周囲のあらゆるものを人は二
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