オレンジジュース/結城 森士
凍死しそうな真夏の夜に
電線に止まっているカラス
銀色のグラスに注がれた
オレンジジュース
私の体は透き通って
喉を通過する無感動
何も飲んでいない
凍死しそうな真夏の夜に
女は去り、街を徘徊する
そして午前二時の黒猫
闇の中をカラスが鳴いている
『一体誰を呼んでいるのか
お前が鳴くには早過ぎる
それとも
大切な者を失った私を
笑っているのか
そんなに繰り返し鳴くな
寝ぼけているのか
それとも
嫌な夢を見たのか
落ち着いて眠れ
夜の闇はお前に優しくないはずだ』
自分の発した声に目を覚ます
それにしても喉が渇いた
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