オレンジジュース/結城 森士
 

オレンジジュースを注いでくれ

凍死しそうな真夏の夜に
立ち並ぶ家々の
遥か向こうから
喧嘩した女が
私の家を睨んでいる
今にも潰されそうで
怖い

凍死しそうな真夏の夜に
夜の星はオレンジ色に光っている
自室の扉を開けると
女が立っていた
「し・・・」
私は言葉を止められた
「感情は言葉に操られる」
私は何か喋ったが
何を喋ったか忘れた

朝焼け
電線のカラスが飛び立つ
太陽のグラスいっぱいに
オレンジジュースが溢れ出している
  グループ"行方不明にて"
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