批評祭参加作品■鏡の詩「フィチカ」/Rin K
子どもの頃「怖かったもの」がたくさんある、チャルメラのラッパ、ギャル、雷に、「かちかち山」の絵本・・・。そんな中で、私が何よもり恐れていたものが天狗のお面であった。
そのお面は私が六歳のときに暮らしていた祖父母宅の客間の壁にかけてあったものだ。誰がどこで手に入れたものか、祖父母でさえも記憶にないという。今改めて見れば「笑点」の歌丸師匠にどことなく似た、人の良さそうな顔である。当時この客間が私の部屋として与えられていた。一度このお面を外してほしいと祖母に交渉したが、昔からここにあったから動かさないほうがいいという、どうもスッキリしない理由で断られてしまった。後々聞けば、祖母も天狗が怖かったらし
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