批評祭参加作品■ダイアリーポエム調の散文/mizu K
 
1年目くんに無理難題をてきとうに指示。それから颯爽と営業に
出る。JRで移動。混んでいる。転職の広告に目がいく。ふいにベビーカーから泣き声。そ
の子の目の前にはドブネズミ色のスーツがいくつか立ちふさがるように立っていた。そう
いえば「車いすに乗った状態での視線の高さでは、黒い服装をしている成人男性が目の前
に立っていると恐怖感を感じることがある」と聞いたことをふと思い出す。まわりの乗客
にはきつい視線をそちらに送っている人もいる。あるいは渋面で目を閉じている人。次の
駅で降りる。
 ホームでおばあさんがおろおろしているようだが、気づかないふりをする。ホームの端
の方で思い詰めた顔を
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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