批評祭参加作品■怠惰な物差し ??あるいは違犯と視線について/岡部淳太郎
 
を社会は望んでいない。社会の中の一構成員として過不足なく生きるのに成功している人たちも、そのような存在を望まない。というより、疎ましく思ってしまうようなところがある。何故なら彼等はそれぞれ独立した個人でありながら、いっぽうでは社会に溶けこんで十全に生きているという時点で社会全体の意志を代弁する者になってしまっているからだ。こうして突出した存在は社会から疎外される。精神的にも物理的にも疎外されて、後にも先にも行けない状態になってしまう。
 ここで言う「突出した存在」とはすなわち存在そのものが違犯であるような人間、または意識してか無意識のうちにか違犯としての部分を抱えてしまった人間のことである。その
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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