批評祭参加作品■僕たちの罪は、どうすれば癒されるのだろう/2TO
、二枚貝に挟まれた青空を精査することに等しい*4。推敲を重ねていくという作業は、「付け足し」「削除」「書き換え」といったことの単純な反復ではない。それは互いの稿を反復として差異を作り出していくこと―――その差異を作り出すのは作者である「わたし」であるのだが―――作品の「質」を更新していくことである。第二稿で大幅に付け足された最終連の記述は、古い殻を脱ぎ捨てるような「脱皮」ではなく、むしろ繭の中で溶かされた皮膚の構成物質が羽根の神経組織へと転用されていくような「飛躍」であると見なすべきである。
このように作品は作者、あえて言うなれば「わたし」にとって生成されていく。ところで、バシュラールは貝
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