批評祭参加作品■余白の海についての試論/2TO
るのである。
書物」を「言葉=島」と「海=余白」という「全‐世界(トゥ=モンド)」、として思考すること、そのような「列島的思考は我々の複数世界の歩みに合致している。(中略)それは迂回の実践を容認する。(中略)それは<痕跡(トーラス)>の諸々の想像界の射程を認知し、認証するものだ。
その<痕跡(トーラス)>こそ吉増剛造が指摘した「傷の多島性」「傷を蓄積するような海との関係性」ではないだろうか。そして「言葉=島」と「海=余白」とで構成された「全‐世界(トゥ=モンド)」という「列島的思考」によって、吉増剛造の「書物」をあらゆる『航海日記』として読むことが必要なのではないだろうか。そして、このような「列島的思考」こそ、新たなテクスト読解性として、「群島的テクスト読解性」として、船の尖先(Style)を向けるべき方向であるように思われる。
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