批評祭参加作品■狐のかわごろも/石川和広
 
るから、よけい遠くへいける。引用します。

 汚れつちまつた悲しみは
 なにのぞむなくねがふなく

 ここもすごいですね。のぞむ、ねがふ。それぞれちがう言葉なんだけど、近いような。
調べもいいですね。次も引用。

 汚れつちまつた悲しみは
 倦怠(けだい)のうちに死を夢む

 「けんたい」っていうと、倦怠期みたいですけれど、「けだい」って読むのですね。「けたい」だと「懈怠」で仏教の言葉のようです。ある「懈怠」の解釈について引用します。


『法相二巻抄』には、
もろもろの善事の中に怠りものうき心なり。
といわれている。善事をしないのである。おそらくは、しなければなら
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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