批評祭参加作品■狐のかわごろも/石川和広
本では狐憑きやらがありますね。ある種の狂気というかトランスというか。中国では霊力さえあるんですな。
何が言いたいかっていうと、中也の言葉が「狐の手袋」だったらまたイメージがちがいます。「子ギツネこんこん」とか。その後雪も出てきますし。でも、それらにも通じているし、また古代中国だけでなく日本でもそうだけど得体のしれないエネルギーのことでもある。かわいくて、こわくて、あやしくて、警戒心が強くて。変なんだけど高貴で、音楽に満ちている着物。着物ってのは、裸をかくす衣装だから、それによって他人を誘惑します。中也における誘惑的な他者性あるいは魂なのかなあと。
中也の詩は独特の古代的な調べがあるか
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