批評祭参加作品■走るレプタイル/石川和広
さんは「一人でコツコツ」やる内省的な作業が好きなようなのだ。春樹さんにとって「走ること」と「長い小説を書くこと」は近い作業のようなのだ。体の状態やモチベーションを徐々にその作業に馴らしていくことや、最初苦しいのもある地点を過ぎると、とても気持ちよくなることや、その結果この作業が止められないような麻薬性をもつことなどである。
この本も、『レプタイル』も、別にランナーでなくてもいいと感じられる。僕は学生時代、通知表に「いつもコツコツやっています」と書かれていたのだが実は非常に飽きっぽい。また春樹さんのように「自分に向き合う」のが実は苦手で誰かと一緒の方が安心する。どうしようもなく淋しがりやの
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