限りある世界で嫉妬する/渡邉建志
ゆくのか
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風がびゅうびゅう
襤褸をまとった子供が突っ立っている。
ざらざらとした、いかにも竹上好みの世界を、
無表情のまま、子供は西へ歩いて行く。
そこは、傷つきやすい繊細な心、という世界ではもうない。
ざらざらと通り過ぎている。
何しろ彼は西へ行く。仏になろうと。
殺伐とした世界を。
「そうか」というだけの彼は動かない。動かないで見ている。
見ながら「西へ ゆくのか」とだけ言っている。感心している。感嘆している。
だけである。
主人公の動かなさ/動けなさ、あるいは主人公がただひたすら開いた眼であること、
そこにこそ、い
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