【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
メリカン・コーラの流れる音が、しました。
「やっぱアメリカンは最高だぜ、なあハミル」ムスカがハミルの肩を叩きました。
「イエス。でも糖分が多すぎるのが玉に瑕だな」ハミルは缶を振って答えます。
「え、なに?」
パシヴィテ。
「お母さん、まだまだ元気そうだ」ハミルは誰に話しかけるでもなく謂いました。
「ああ」同様にムスカも。
ハミルがCDを止めました。雨は激しくなってきていました。
「しかしこれ飲んでるとアメリカに居るような気がしてくるんだもんなっ、これが
ホントのベイ・ブリッジってか?ウシシ」ムスカの横顔の陰翳にはハミルの悲しみ
が寄生しています。ハミルはそう思いました。
[次のページ]
前 次 グループ"フレージストのための音楽"
編 削 Point(5)