【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
 
ら口を開きました。
「ねえ、あのボール塔が廻りつづけるのって中のひとを誰も出口に通さないためっ
て学校で習ったんだけどホントかな」
「え、なに?」
 パシヴィテ。
 ハミルはしどけなくいつの間にやらみたらし団子を三本とも平らげていました。
パン、パン、と車の屋根を撃つ音がしてからまもなく、ざあざあと雨が降り出して
いました。ボール塔はハミルの目から一気に霞んでいきました。
「そうだハミル、コーラ開けてくれ」ハミルは大切な瞬間を掬われたような心地に
なりましたが、笑いながら、
「また爪噛んじゃったのかよ」缶のタブを開いてムスカに手渡します。
「え、なに?」
 二人の喉をアメリ
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   グループ"フレージストのための音楽"
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