【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
移し替えていました。そしてその脹らんだ布きれを腰に巻き附けました。ウエ
スト・ポーチでした。ハミルはほっとして、プラダのバッグがロッカーに仕舞われ
ていくのを見守りました。
にしてもよくつまずくハミルのおかあでした。三歩進んで二歩下がるような不恰
好だなぁ、それでいて二歩下がらないところが腹立たしいよ、とハミルはぼやきま
した。階段ではパンツ丸出しです。階下では年増のミニ・スカートから覗くパンツ
をやく・みつるが珍しがっていました。
やっとごとでハミルのおかあは駅ホームに上り詰めました。電光掲示を見る限り
では行き先はどうやらハミルの家の方角ではないみたいです。ちょこんちょこん
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