静かに、なるべく静かに(アスパラガスさん讃1)/渡邉建志
 
画はそれから81年後、1895年フランスに産まれる。
それからシリンダは回り続けているし、フィルムも回り続けている。
同じリズムを刻みながら。
いまでも。

手に汗を握って映画を見ていても、僕らが箱から出てきて興奮しながら話すとき、
それぞれが違う夢を見ていたのに、それに気づいていないということがあったのではないだろうか。
詩を書くとき、詩人は、たとえばとても古い映画館を持っていて、
そこで見てきた夢を話してくれていたのではないだろうか。

もう詩人によって詩が書かれなくなったとしても、この世界ではないどこかにあるその箱で、
きっとその無声映画は上映され続けている。
後ろで
[次のページ]
   グループ"フレージストのための音楽"
   Point(8)