とどかない光/小林レント讃5/渡邉建志
 

跳躍は
    もうしない
天使の首ではなく
       それは
天使の首の影
ここの揺れるリズム、とくにこの「もうしない」の「もう」は「崖をのぼる水」のなかでいちばん美しかったあの言葉だ、あれとおなじ静かな諦めだ。殺しているのは、「わたくしたち」だという。そして視点はまたわたくしたち自身に戻ってくる。あの、幼いと同時に老人のような、一瞬を生きる少年の視点に戻る。最後の章。



●「河のほとりで」1.河の流れ 

死の後のしずけさ、最初へ戻った静寂と平和。ずっと「見」つづけていた少年は、はじめて動作する。流れに足をつけるという動作を。
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   グループ"フレージストのための音楽"
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